番外編:DCの桜の歴史
アメリカに日本の桜を送ろうと活動したのは、当時東京市長を務めていた尾崎行雄でした。最初に送った2000本の苗木は1909年12月にワシントン州シアトルに寄港され、陸輸でワシントンDCに届けられました。ところが生育が悪い上に害虫の被害を受け、他の苗木への感染を恐れて全て焼却されることになりました。このニュースが日本に知らされると、再度アメリカに新たな苗木を送る手続きがとられました。

桜の植樹式が正式に行われたのは1912年3月27日のことで、当時のアメリカ大統領夫人Helen Taft(ヘレン・タフト)と日本大使夫人の手により、まず最初にポトマック公園にに2本の桜が植えられました。このとき植樹された他の桜も、4年後に行われた調査ではその99%が生長していたそうです。

1912年の船荷には6000本の桜の苗木が用意され、3000本はワシントンDCに、残りはニューヨークに送られました。この時お礼として、アメリカから贈られたのがハナミズキでした。アメリカではdogwoodと呼ばれていますが、ここバージニア州の州花にも指定されています。荒川が決壊し堤防の桜の木が死滅しそうになった際、タイダルベイスン脇に植えられた桜の木を切って贈り返されたというエピソードがあります。

毎年3月終わりから4月始めにワシントンDCで開催される桜祭り(National Cherry Blossom Festival)は、第二次世界大戦中は5年間中止され、特に真珠湾攻撃直後は桜の木が傷つけられることもあったそうですが、1935年から今も続いている盛大なお祭りです。祭りのイベントの中にはタイダルベイスン脇の石灯籠(写真上)に明かりを灯す点灯式もあります。

「ハナミズキ」(Dogwood)
別名アメリカヤマボウシ。日本でも多く見かけるが、もともとは北米産。春になるとピンクや白の花を咲かせる木。(花びらに見えるのは実際には中の実を包んでいるもの)花言葉は「返礼」。


(写真上)Stone Lantern:日米和親条約の100周年記念として1954年に東京より寄贈。(写真下)Japanese Pagota:日米親善の証として1958年に横浜市より寄贈。
最終更新日:2004年8月29日(日) ページTOPへ