2001年9月11日の同時多発テロ以降、私達を取り巻く環境は大きく変わりました。旅客機が墜落した国防総省(通称ペンタゴン)付近の道路は昼夜問わず厳重な警戒がしかれ、軍やパトカーの車が常に不審車両をマークしています。以前は自由に見学が出来たホワイトハウスやFBI、ペンタゴンはセキュリティ上の理由から規制が厳しくなり、誰でも簡単に中に入ることはできなくなりました。ホワイトハウス前では、三脚を使用した記念撮影は禁じられています。テロの標的になりやすいイベントでは多数の警官、軍人が動員されます。同時多発テロから既に3年が経とうとしていますが、テロ警戒レベルが引き上げられる度に常に不安がつきまといます。これからワシントンDCにお出かけになる方は、まずは外務省の海外安全ホームページで現地の最新情報を確認されることをお勧めします。またワシントンDCエリアにお住まいの方は、在米日本大使館に在留届けを提出すれば緊急情報をメール配信してもらえます。メール配信を受けていない方は、大使館ホームページから新たに登録することも可能です。
テロ対策だけでなく、日頃の防犯についても心がけなければなりません。1993年から10年間のワシントンDCでの犯罪発生状況を見ると、発生件数の最も多かった1993年(68,146件)と比べ、2003年は40,456件と40%以上も減少しています。更に、殺人、強盗などの凶悪犯罪は60%以上の減少にあります。これはDCに限らず全米の他の主要都市にも共通していることで、90年代の米国の好景気と深い関わりがあると言えます。しかし治安改善の傾向にあるとはいえ、全国的にみてもワシントンDCは依然として極めて犯罪発生率の高い地域であり、油断はできません。特に人口50万人以上の都市中の人口10万人あたりの殺人発生率では、2002年についに1位(2位以降はデトロイト、ボルチモア、メンフィス、シカゴ、フィラデルフィアと続く)となり、『Murder
Capital(殺人都市)』と呼ばれる程です。全米主要都市で最も殺人の少なかった都市は人口90万人のホノルル(発生件数18件)で、ホノルルよりも少ない人口60万人で発生件数が262件(2002年データ)というDCは犯罪多発都市なのです。
ただ、殺人などの凶悪犯罪は観光エリアとは離れた場所で多発しており、日常的にも道を間違ってうっかり入り込まない限り、足を踏み入れるような場所ではありません。むしろ注意しなければならないのはスリや強盗といった類です。日中は多くの人で賑わっているDCですが、週末や夕方6時を過ぎると人通りが極端に少なくなります。危険といわれている地域は日中でも気持ちを引き締め、夜間の一人歩きはしないように留意しましょう。尚、DC近郊のメリーランド州やバージニア州の犯罪発生状況は、大使館のホームページでもご覧になれます。
特に注意すべき地域
下記の場所以外でも、常に警戒心は忘れないようにしましょう。
・ユニオンステーションの北側および東側(昼夜問わず)
・Independence Avenueの南側(特に夜間)
・US Capitolの東側および南側(特に夜間)
・L Street以北(特に夜間)
・チャイナタウン近辺(H Street以北および7th Street以東)
・Metro Centerとチャイナタウンの間(特に夜間)
・繁華街(GeorgetownやDupont Circle)の裏通り
・NE、SEのアドレスがつく地域
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自転車でパトロール中の警官
(ホワイトハウス付近にて)
2003年統計 |
発生件数 |
前年比 |
殺人 |
248 |
-5% |
強姦 |
273 |
+4.1% |
強盗 |
3,836 |
+2.8% |
傷害 |
4,482 |
-7.6% |
侵入盗 |
4,670 |
-9.6% |
窃盗 |
17,362 |
-16.9% |
自動車盗難 |
9,549 |
+4.2% |
放火 |
126 |
+15.6% |
合計 |
40,456 |
-9% |
Union Station
(特に夜間は、駅建物の外に出ないように)
昼間は活気のあるペンシルバニア通り
(Federal Triangle駅付近)
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